ADHD(注意欠如多動症)の特性である「多動力」は、一見すると起業活動の障害に思えるかもしれません。しかし、適切に活用すれば、これは強力な武器となります。本記事では、ADHDの特性を持つ起業家が多動力を効果的に活かし、ビジネスを成功させるための具体的な方法をご紹介します。
目次
多動力とは何か?3つのタイプを理解する
多動力は大きく分けて3つのタイプに分類されます。それぞれの特徴を理解することで、自分の多動力をより効果的に活用できるようになります。
思考面の多動
思考面の多動とは、考えがあらゆる分野に飛んでいく状態を指します。次々とアイデアが浮かび、思考がぐるぐると回り続けるのが特徴です。この状態では、一つのことに集中しているつもりでも、気づけば全く別のことを考えていることが多々あります。
この思考面の多動に対処するには、すべてのアイデアを記録することが重要です。ポストイットや大型のイーゼルパッドを活用して、思いついたことをその場で書き留めましょう。重要なのは、書き出す作業とまとめる作業を分けることです。思いついた瞬間にまとめようとすると、新しいアイデアが出てこなくなってしまいます。
壁にポストイットを貼っていき、後でまとめる時間を別に設けるという方法が効果的です。iPhoneのメモ機能も便利ですが、見返すタスクを入れても忘れがちです。物理的に目に見える形で残しておくことで、アイデアを活用しやすくなります。
行動面の多動
行動面の多動は、仕事、健康、趣味など複数の分野で活動的になる傾向を指します。じっとしているのが苦手で、様々なプロジェクトに同時に取り組みたくなるのが特徴です。
実は、この行動の多様性は人生のバランスを取るために必要なものです。様々な分野で活動することで、人生全体のバランスが取れます。逆に一つの分野だけに固執してしまうと、他の部分が疎かになり、長期的には持続可能ではありません。
問題となるのは、エネルギーが分散しすぎて、どれも中途半端になってしまうことです。起業初期など、一定期間は一つのことに集中する必要がある時期に、この行動面の多動をどうコントロールするかが成功の鍵となります。
感情面の多動(落ち着かない感覚)
感情面の多動は、いわゆる「落ち着かない感覚」として現れます。ソワソワする、じっとしていられない、なんとなく不安といった感覚です。この感覚は実は体からのメッセージであり、何か重要なことを伝えようとしているサインです。
人間の感情と体の反応はリンクしています。喉に違和感があれば言いたいことが言えていない可能性があります。この感覚を無視したり抑え込んだりするのではなく、何を伝えようとしているのかを理解することが重要です。後ほど詳しく説明する「フォーカシング」というワークを使えば、この体のメッセージを読み取ることができます。
多動力を活かせない最大の理由
多くのADHD起業家が多動力を活かせない主な理由は、理想の未来が明確でないことにあります。人間は本能的に現状維持を好む生き物です。明確な理想がないと、無意識のうちに変化しない方向へのエネルギーを使ってしまいます。
たとえばゲームやギャンブルに没頭してしまうのは、明確な理想の未来や生活がないからです。理想が明確であれば、自然とそちらに向かってエネルギーが向かいます。しかし、多くの人は会社などで嫌なことやできないことばかり見せられているため、理想を描く力が弱まっています。
会社は社員に自己実現されると困ります。みんなが自分のやりたいことを見つけて会社を辞めてしまったら、組織が成り立たないからです。だからこそ、意識的に理想の未来を描く訓練が必要なのです。
理想の未来を明確にする2つの方法
理想の未来を明確にするために、特に効果的な2つの方法があります。これらは毎日実践できるシンプルなワークですが、継続することで確実に効果が現れます。
3日後引き寄せ日記
3日後引き寄せ日記は、未来の良い状態を先取りして感じることで、その状態を引き寄せるワークです。まず3日後の自分が良い気分でいることを想像します。このとき重要なのは、「嬉しい」「楽しい」「ワクワクする」などの感情を先に感じることです。
具体的には、3日後の夜を想定して、その時点で良い気分になっていると仮定します。たとえば「セミナーが楽しくできた」「参加者がやる気になっている」「良い反応をもらえた」といった状態をイメージします。そして、その前提で今日から3日間にどんな行動をしたかを過去形で書き出していきます。
「セミナーの準備をした」「参加者に寄り添う話し方を心がけた」「事前にワークシートを用意した」など、良い結果につながる行動が自然と浮かんできます。この日記を続けることで、目線が上がり、理想の未来が見えやすくなります。
多くの人は、会社などで嫌なことやできないことばかり見せられているため、下を見る癖がついています。「失敗したらどうしよう」「できなかったらどうしよう」という思考パターンです。この癖から抜け出すために、意識的に良い状態をイメージする訓練が必要なのです。
この日記を書くことは、見る癖を変えるトレーニングです。最初は難しくても、続けることで徐々に理想の未来が見えるようになります。騙されたと思って、まずは1週間続けてみてください。
自分が得たい結果を明確にする
自分が得たい結果を考える際、5つの質問が有効です。まず「自分が得たい結果は何か?」を問います。次に「なぜその結果が欲しいのか?」を掘り下げます。そして「どうすれば実現できるか?」を考え、「最初に自分にする質問は何か?」を意識します。最後に「この結果は本当の欲求から来ているか?」を確認します。
ここで注意が必要なのは、「会社を辞めたい」といった願望は二次的なものだということです。本当の欲求はその奥にあります。たとえば「自分らしく生きたい」「自由な時間が欲しい」「好きなことをして生きたい」といった、より本質的な欲求を見つける必要があります。
会社を辞めたいという願望で行動しても、実際に辞めた後に満たされるとは限りません。なぜなら、本当の欲求が満たされていないからです。自分らしく生きたいという欲求があるなら、会社を辞める以外の方法もあるかもしれません。あるいは、本当に辞める必要があるとしても、その先の明確なビジョンがあってこそ、行動に移せるのです。
プライマリークエスチョン、つまり自分に最初にする質問の質が、人生の質を決めます。「どうせ無理だ」「できるわけがない」という質問をしていれば、そのような答えしか返ってきません。一方で「どうすればできるか?」「誰に聞けば分かるか?」という質問をすれば、建設的な答えが返ってきます。適切な質問をすることで、自分の理想の未来に近づく答えが自然と出てくるのです。
客観視の重要性と実践方法
客観視は、多動力を効果的に活用するための最も重要なスキルです。なぜ客観視が必要なのでしょうか。まず、エネルギーの分散を防ぐことができます。多動的な傾向があると、様々なことに興味が向きますが、客観視することで本当に効果的な行動を選択できるようになります。
また、客観視によって自分の状態を正確に把握できます。多くの自営業者が陥る罠は、自分が今良い状態なのか悪い状態なのか分からないまま進んでしまうことです。常に不安で、その不安から行動してしまうと、良い結果は生まれません。根拠を持って「今は良い状態だ」「ここが改善点だ」と言えることが重要です。
さらに重要なのは、ビジネスの状態と自己を分離できることです。結果が出ていないからといって、自分自身がダメなわけではありません。ただビジネスの状態が良くないだけで、対策を考えれば良いのです。この切り分けができないと、結果が出ないたびに自己否定に陥ってしまいます。
ADHDの人は特にこの混同をしがちです。売上が上がらないことと、自分の存在価値は全く関係ありません。今はたまたま状態が良くないだけです。客観的にビジネスを一つの別物として見ることで、冷静に対策を考えられるようになります。
客観視とは「自分とは異なる別の視点で見ること」です。起業においては、自分の視点だけでなく、お客様の視点、同業者の視点など、複数の視点が必要です。視点が増えるほど、ビジネスは発展します。特にお客様の視点で見られないと、売れる商品やサービスを作ることはできません。
竹岡さんの動画でも「視野と視点」という話がありましたが、まさにこれです。ビジネスをする時には必ず人との関係が出てきます。お客様の目線で自分のビジネスを見る、同業者の目線で見る、投資家の目線で見るなど、別の視点で見られることは、それだけ自分のビジネスが発展することを意味します。
実践ワーク1:点数評価法
点数評価法は、自分の状態を客観的に把握するための最もシンプルで効果的な方法です。このワークの基本は、現状を100点満点で点数化することから始まります。
まず「今の自分の状態は100点中何点か?」と自問します。このとき、仕事、健康、趣味など分野別に点数をつけても構いません。直感で構わないので、まずは点数を決めてみましょう。正解不正解はありません。自分で決めることに意味があります。仮で決めても大丈夫です。
次に、その点数をつけた理由を明確にします。「なぜその点数だと思うのか?」を考えることで、自分が何を基準に評価しているかが見えてきます。ここで重要なのは、学校教育のように100点から減点するのではなく、進んでいる部分に注目することです。たとえば30点だとしても、ゼロではなく30点分は進んでいるのです。
昔だったらゼロ点と迷いなく言っていたかもしれません。でも今は30点あると認識できている。起業活動を意識できているだけで30点の価値があるということです。このように、進んでいる部分を見ることが大切です。
理由を考えた後、もう一度点数を見直してみましょう。理由を整理することで、実は70点にしてもいいかもしれないと感じることもあります。この作業を通じて、自分が自分をどう評価しているかが明確になります。
続いて、未来を予測します。「この状態が続くとどうなるか?」を考えることで、現状の問題点が浮き彫りになります。たとえば毎月1名しか集客できない状態が続けば、お金も入ってこないし、新しいセミナーも開けないかもしれない。部屋の練習環境も作れない、最悪の場合は住む場所がなくなるかもしれない。こうした危機感を持つことで、行動のモチベーションが生まれます。
次に「100点満点の状態はどんな状態か?」を想像します。これが理想の未来です。できるだけ具体的にイメージしましょう。どんな場所に住んでいるか、朝起きたら何をしているか、誰と一緒にいるか、どんな気分でいるかなど、五感を使ってイメージします。
さらに余裕があれば、150点や200点の状態、つまり奇跡が起きた状態も考えてみましょう。たとえば有名な人に紹介してもらえたり、有名雑誌に掲載されたり、思いがけない良い出会いがあったりといった、想定外の良いことが起きる状態です。
このような奇跡の状態を考えることで、シンクロニシティ(偶然の一致)が起こりやすくなります。多くの人は目線が下がっているため、こうした良い状態をイメージできません。しかし、意識的にイメージすることで、脳がそれに関連する情報をキャッチするようになるのです。「今の問題や悩みがすべて解決したとしたら?」という質問も効果的です。
最後に、行動を決めます。「その状態を実現するために何をするか?」を具体的に考えます。必ず行動しないと改善はしないのです。ここでよくあるのが「時間が取れない」という問題です。その場合は、時間を取るために何をするかを考えます。起業活動には時間確保が絶対に必要だからです。
時間が取れないなら、会社を辞めるという選択肢もあります。すぐに辞めるのが難しければ、副業として時間を確保する、朝早起きする、無駄な活動をやめるなど、様々なオプションがあります。一つだけのアイデアで行動が止まるのではなく、可能性を広げて考えることが大切です。
さらに効果的なのは、理想の状態の一部を今すぐ取り入れることです。たとえば100点満点の状態で朝起きたらピアノを弾いているとイメージしたなら、今日から少しでもピアノを弾く時間を作ります。海の見える場所でぼんやりしているとイメージしたなら、今週末に海に行ってみます。
理想の生活に少しずつ馴染んでいくことで、脳がその状態を探し始め、実現に向かって動き出すのです。これは「理想の状態の感覚を持つ」ということです。その感覚が、同じ振動を持つ現実を引き寄せます。最初は信じられないかもしれませんが、量子力学的にも説明されている現象です。
実践ワーク2:フォーカシング
フォーカシングは、体の感覚から自分の本当の欲求を知るための強力な手法です。ADHDの人は特にイメージ力が豊かなため、このワークが非常に効果的です。論理的に考えても決断できない時、やった方が良いのにできない時に、このワークを使います。
フォーカシングの準備
まず、リラックスした場所で椅子に座ります。深呼吸をします。鼻からゆっくり息を吸い、鼻の粘膜を通る空気を感じながら、口からゆっくり吐き出します。これを何回か繰り返します。
次に、手の指を擦ってみてください。指と指が触れ合う感覚を感じます。「あ、手がここにあるんだな」という感覚です。同じように足の指も擦って、足がここにあることを感じます。このようにして、自分の体の感覚に意識を向けていきます。
目を閉じると、より集中しやすくなります。体の感覚に意識が向いたら、準備完了です。
フォーカシングの実践
準備ができたら、自分が今「やった方が良いのになんかできない」と思うことを考えてみてください。新しい集客方法を試すべきなのにできない、メールマガジンを作った方が良いのにできない、運動した方が良いのにできないなど、何でも構いません。
そのことを思い浮かべると、おそらく少し嫌な感じがするはずです。モヤモヤする、重たい、息苦しいなど、何らかの感覚が生まれます。その感じが、体のどの部分から来ているか観察してください。
喉から来るかもしれません。胸の辺りかもしれません。胃のあたり、下腹、首や顎の筋肉、あるいは全く別の場所かもしれません。どこかに違和感や不快感があるはずです。その場所を見つけてください。
違和感が見つかったら、その違和感に向かって話しかけます。「こんにちは。あなたがそこにいることに気づきました」と声に出して言ってみてください。小さな声でも、心の中でも構いませんが、実際に言葉にした方が効果的です。
次に、その違和感の形や性質を観察します。どんな色をしているでしょうか。真っ黒かもしれないし、灰色かもしれないし、パステル調かもしれません。形はどうでしょう。丸い、四角い、不定形、回転している、固まっているなど、様々な形があります。
重さはどうでしょうか。重い、軽い、ずっしりしている、ふわふわしている。温度は暑いでしょうか、冷たいでしょうか。このように観察することで、その感覚がより明確になってきます。
観察できたら、その感覚に名前をつけてあげてください。「イライラ君」「モヤモヤ君」「ソワソワ君」「ガス君」など、自分がしっくり来る名前を自由につけます。名前をつけることで、その感覚を自分とは別の存在として扱えるようになります。
名前をつけたら、その感覚に確認します。「この名前でぴったりかな?」と聞いてみてください。もし違うと感じたら、別の名前を試してみます。しっくり来る名前が見つかるまで、いくつか試してみても構いません。
名前が決まったら、いよいよ対話を始めます。その感覚に向かって質問します。「そういう風に感じることで、あなたは私に何を伝えようとしているの?」と聞いてみてください。
答えはすぐに返ってくるかもしれないし、返ってこないかもしれません。焦らずに待ちましょう。答えは言葉で返ってくることもあれば、イメージで返ってくることもあります。あるいは、日常生活の中でふと気づく形で返ってくることもあります。
他にも質問してみましょう。「私に何をして欲しいの?」「あなたのために私にできることを教えてください」と聞きます。ここでのポイントは、好奇心を持って、その感覚を深い友人のように扱うことです。批判したり、無理に消そうとしたりせず、横に座って話を聞くような気持ちで接します。
もし聞けそうなら、「あなたはこれからどうなっていくの?」「何もかも大丈夫になったら、どんな風に感じる?今の私に教えて」とも聞いてみてください。これは理想の状態の感覚を知るための質問です。
メッセージが出尽くしたと感じたら、「他に言いたいことはある?」と最後に確認します。もうないと感じたら、その感覚に感謝を伝えます。「あなたの気持ちを教えてくれてありがとう。あなたのことを大切に思っているよ」と言ってあげてください。
そして、自分のタイミングで目を開けます。これでフォーカシングは終了です。
フォーカシングで分かること
体の部位によって、ある程度のメッセージの傾向があります。喉に違和感がある場合は、言いたいことが言えていない可能性があります。胸の場合は、愛情不足や自信のなさ、寂しさを感じているかもしれません。
胃に来る場合は、やりたくないことを無理してやっていることが多いです。胃潰瘍になったり、吐き気がしたりする人は、本当にやりたくないことを我慢してやっている可能性が高いです。
下腹に来る場合は、不安や恐れを感じています。首や顎の筋肉に違和感がある場合は、責任を強く感じていたり、緊張していたりします。首が回らないという表現がありますが、これもお金の責任を感じている時に使われますね。
ただし、これらは一般的な傾向であって、人によって違います。本当のメッセージは、実際にフォーカシングをして聞いてみないと分かりません。
フォーカシングの効果
フォーカシングを実践することで、論理的には分かっているのにできないという状態から抜け出せます。たとえば「新しいメールマガジンを作った方が良い」と頭では分かっているのに、なぜか手が動かない。そんな時にフォーカシングをすると、「もっと人とコミュニケーションを取りながらビジネスをしたい」という本当の欲求が出てきたりします。
それが分かれば、メールマガジンではなく、公開セミナーをやろうという決断ができます。本当の欲求が分からないまま、ただ「できない自分はダメだ」と落ち込んでいても何も変わりません。ADHDの人は特に、論理ではなく感情面でブロックがかかっていることが多いのです。
フォーカシングは何回もやることで、より効果が高まります。最初は感覚が掴めなくても、続けることで体の声が聞きやすくなります。そのうち、深呼吸や準備なしでも、瞬時に体の感覚を確認できるようになります。
決断に迷った時、このワークを使って体に聞いてみてください。「こっちの選択肢だとどう感じる?」「あっちだとどう?」と。体は既に答えを知っています。その声に耳を傾けることで、より良い決断ができるようになるのです。
パーミッション(許可)ワーク
理想の状態をイメージしようとしても、頭が真っ白になってしまうことがあります。100点の状態や200点の状態が全く思い浮かばない。これは実は、潜在意識が変化を拒んでいるサインです。
本田晃一さんは、これを「防衛反応」と呼んでいます。自分の中の潜在意識が、イメージさせないことで、変化を防ごうとしているのです。なぜそんなことをするのか。それは、変化することで何か失うものがあると思い込んでいるからです。
たとえば、遺産が手に入ることをイメージできない人がいます。なぜか。その人は過去に、家族がお金のことで揉めるのを見ているのです。だから無意識に「お金が入ると家族が揉める。家族を守るためには、お金が入らない方が良い」と思い込んでいます。
この思い込みは、意識のレベルでは認識していません。だからこそ、イメージしようとすると頭が真っ白になるのです。こうした時に有効なのが、パーミッション(許可)ワークです。
やり方はシンプルです。自分に許可を出す言葉を唱えます。「1億円を手に入れても良い」「会社を休んでも良い」「会社を辞めても良い」「スキルがなくてもやっても良い」など、自分がブロックを感じている部分について、「〜しても良い」と言ってみるのです。
実際に声に出して言ってみてください。「会社を辞めても良い」と言った瞬間、どんな感覚がするでしょうか。多くの人は、解放感を感じます。「あ、辞めても良いんだ」と気づくだけで、肩の荷が下りたような感覚になります。
パーミッションワークを何回か繰り返すと、制限が外れてきます。そして、「じゃあどうすれば良いか」というアイデアが浮かんでくるようになります。たとえば「1億円を手に入れても良い」と何回か唱えていると、「まずは3000万円を目指そう」「1億円を手に入れて幸せそうにしている人を探してみよう」といった具体的な行動が思いつきます。
よく「宝くじに当たって人生が狂った人」という話がベストセラーになります。そういう本を読んでいると、無意識に「お金を持つと不幸になる」という思い込みができます。でも逆に、お金を持って幸せな人の話を聞けば、「あ、お金があっても幸せになれるんだ」と思えるようになります。
制限の多くは、思い込みです。本当に不可能なのか、ただ思い込んでいるだけなのか。パーミッションワークを使って、一つずつ確認してみてください。
多動をコントロールする実践テクニック
ここからは、日常的に使える多動コントロールのテクニックをご紹介します。これらは全て、客観視の力を使ったものです。
名前をつけて客観視する
衝動的な自分や落ち着かない感覚に名前をつけて、別の存在として扱います。たとえば、すぐイライラしてしまう自分を「イライラ君」と名付けます。そして、イライラした時に「イライラ君、どうしたの?」と問いかけるのです。
これによって、イライラしている自分と、それを観察している自分に分離できます。感情に飲み込まれてしまうのは、自分とその感情を同一視しているからです。別の存在として扱うことで、冷静に観察し、対処できるようになります。
「ソワソワ君、何が不安なの?」「モヤモヤ君、どうなりたいの?」このように問いかけることで、その感情の奥にあるメッセージが見えてくることがあります。
スタンフォード大学のケリー・マクゴニガルさんの『自分を変える教室』という本にも、この方法が紹介されています。図解版なら薄くて読みやすいので、興味があれば手に取ってみてください。ただ、分厚い本を読む必要はありません。この記事で紹介している内容を実践すれば十分です。
環境を変えて入力情報を変える
成功している起業家は、環境を頻繁に変えています。リッチ・シェフレンという、ネットマーケティングで10億円以上稼いでいる起業家は、海岸でメモを取ったり、オフィスで作業したり、シガーバーに行ったりと、場所を変えながら仕事をしています。
リチャード・ブランソンも、バージングループの会長でありながら、ほとんどオフィスにいません。海岸でサーフィンをしたり、様々な場所を移動したりしています。
なぜ環境を変えるのか。環境が変わると、入ってくる情報が変わるからです。そして、入力情報が変われば、アウトプットも変わります。同じ場所で同じことを考えていても、新しいアイデアは出てきません。
散歩や自転車での移動も効果的です。歩くと脳が揺れて、情報が変わるのでアイデアが出やすくなります。最近は、健康面でも散歩より自転車の方が良いという話があります。歩き方が正しくないと、変に負荷がかかってしまうそうです。自転車なら、足の筋肉に適切に負荷がかかります。
自転車は移動距離が長いので、色々な場所に行けます。入ってくる情報が多様になり、アイデアが出やすくなります。10分から20分程度、自転車で近所を回るだけでも効果があります。
小学生のADHDの子供が、机の下に自転車をこぐ器具を置いて授業を受けている例があります。ある国の研究では、多動を抑えた子供より、抑えない子供の方がテストの点数が良いという結果も出ています。
バランスボールの椅子を使ったり、多動向けの椅子を使ったりすることも有効です。重要なのは、多動を抑えようとするとパフォーマンスが落ちるということです。むしろ、多動を活かす環境を作ることが大切なのです。
深呼吸で前頭葉を活性化
焦っている時ほど、酸素が不足しています。焦っている時は、呼吸が浅くなっているのです。このとき働いているのは、爬虫類脳と呼ばれる本能的な部分です。
一方、客観視する時に働くのは前頭葉です。前頭葉に血流を送るためには、深呼吸が効果的です。バカにしないでください。これは本当に重要なことです。
ADHDの人は、前頭葉の血流が少ないと言われています。だからこそ、意識的に酸素を送ることで、前頭葉を働かせる必要があるのです。焦った時、イライラした時、決断に迷った時は、まず深呼吸をしてください。
医療用酸素を持っている人は、それを吸うのも一つの方法です。とにかく、酸素を脳に送ることが重要です。
マインドフルネス瞑想
マインドフルネス瞑想は、今ここに集中する瞑想法です。よく「瞑想中は雑念を無理に消しましょう」と言われますが、実は無理に消す必要はありません。
雑念が浮かんできたら、「〜と考えている」と客観視すれば良いのです。たとえば「今日の夕食のことを考えている」「明日の仕事のことを考えている」と観察します。
重要なのは、ジャッジしないことです。「また集中できていない」「雑念が多くてダメだ」と判断するのは、客観視ではありません。ただ「今、こういうことを考えているな」と観察するだけです。
音が聞こえたら、「車の音が聞こえた」と観察します。体のどこかが痛くなったら、「背中が痛い」と観察します。良い悪いの判断を挟まず、ただ観察する。これが客観視の訓練になります。
エンプティチェア(空の椅子)法
エンプティチェアは、3つの視点で起業活動を客観視する非常に強力な方法です。3つの椅子を用意して、それぞれに座りながら、異なる立場で考えるのです。
3つの椅子の役割
一つ目は経営者の椅子です。ここでは投資回収のバランスを考えます。時間とお金をどう投入するか、どこに投資してどこから回収するか、経営者の視点で判断します。
二つ目は管理者の椅子です。ここでは行動管理を考えます。計画通りに進んでいるか、スケジュールは適切か、リソースは足りているか、管理者の視点で分析します。
三つ目は作業者の椅子です。ここでは実際の作業を報告します。今日はこれをやった、疲れた、うまくいかなかった、こんな問題があったなど、現場の視点で状況を伝えます。
実践方法
まず作業者の椅子に座り、状況を報告します。「今日はブログを2本書きました」「でも疲れてしまって、他のことができませんでした」などと話します。実際に声に出すことが重要です。
次に管理者の椅子に移動します。作業者の報告を聞いて、分析します。「ブログ2本は良いペースだね」「でも疲れているなら、休憩時間を増やした方が良いかもしれない」などと考えます。
最後に経営者の椅子に移動します。管理者の分析を聞いて、時間とお金の投入を決めます。「疲れているなら、まとまって1週間休むという投資をしよう」「ただし会社のリスクもあるから、その間の生活費は確保しておこう」などと決断します。
多くの起業家、特に自営業の人は、すべてを作業者の視点でやってしまいます。ずっと現場で働いていて、管理も経営もしていないのです。これでは客観視できません。
週に1回、30分でも良いので、この1人会議をしてください。全て録音して後で聞くのも効果的です。自分の声を客観的に聞くことで、新たな気づきが得られることがあります。
この方法は、お客様の視点を得るためにも使えます。2つの椅子を用意して、一つは自分、もう一つはお客様です。お客様の椅子に座って、「何に悩んでいますか?」「どんなサービスが欲しいですか?」と自分に聞いてみます。
お客様のリサーチをしっかりしている人ほど、お客様になりきって答えが出てきます。これは非常に強力なツールなので、ぜひ試してみてください。椅子3つ用意するだけです。
起業活動で特に重要なこと
起業活動には、特に重要ないくつかのポイントがあります。これらを理解していないと、多動力がマイナスに働いてしまう可能性があります。
初期は集客が8割
起業初期の活動の80%は集客に充てるべきです。商品開発も大切ですが、お客様がいなければ意味がありません。まずは人を集めることに集中してください。
集客方法は様々です。SNS、ブログ、YouTube、セミナー、紹介など、自分に合った方法を見つけます。ただし、あれもこれも手を出すのではなく、一つの方法に集中して、ある程度成果が出てから次に移ることが重要です。
お金を稼ぐことを優先
最初はキャッシュを生み出すことが最重要です。理想を追求するのも大切ですが、まず生活できなければ続きません。どうやったら早くお金が入ってくるか、自分のキャッシュが増えるかを考えてください。
行動なくして進展なし
ここは何度も強調したい点です。本を読むことや勉強することは、起業ではありません。もちろん学ぶことは大切ですが、それは行動に活かすための手段です。
目的を持って学び、必ず行動に活かしてください。セミナーに参加するのも同じです。参加すること自体が目的になってはいけません。そこで学んだことを実践することが目的です。
よくあるのが、本を大量に読んで満足してしまうパターンです。でも行動しない限り、結果は絶対に出ません。読書も、自分の行動に役立つ部分だけを抜き出して、すぐに実践する。この姿勢が大切です。
定期的に活動を見直す
月に1回、自分の活動を書き出して評価してください。「この活動は自分の人生に役立っているか?」「効果が出ているか?」「エネルギーが分散していないか?」と問いかけます。
役に立っていない活動は、勇気を持ってやめましょう。たとえば町の委員会活動、青年会、知人のビジネスの手伝いなど、起業に直結しない活動にエネルギーを使いすぎていないか確認します。
全てをやめる必要はありません。ただ、一定期間は集中する必要があります。一度休んで、軌道に乗ったら戻るという選択肢もあります。
ワンシング(1つのこと)に集中
一定期間は1つのことに集中することが絶対に必要です。これは多動力を持つ人にとって最も難しいことかもしれません。しかし、分散したままでは成果は出ません。
ワンシングとは、「これ一つだけあれば未来に行ける」という重要な目標のことです。これを見つけて、一定期間集中することで、大きな成果が生まれます。
リッチ・シェフレンも言っていますが、起業でやることは山ほどあります。全部やろうと思ったら不可能です。だからこそ、何が最も効果的かを見極めて、それに集中する必要があるのです。
もちろん外れることもあります。でも試してみないと分かりません。分からなければ、経験者に聞いてください。経験がある人の方が、何が効果的か分かっています。
よくある失敗パターン
ADHDの起業家がよく陥る失敗パターンを知っておくことで、同じ轍を避けることができます。
勉強中毒
本を読み続けるだけで行動しない状態です。知識は行動に活かして初めて価値があります。「本を100冊読みました」と自慢しても、それで起業が進むわけではありません。
セミナーでも同じです。参加すること自体が目的になり、全部メモを取ることに必死になっている人がいます。でも重要なのは、自分に役立つ情報を選択して、実践することです。
サラリーマン上がりの人に多いのが、この「全部メモする」癖です。学校教育の影響で、勉強するために勉強してしまうのです。そうではなく、目的を持って学び、使える部分だけを選び取る。この姿勢が起業家には必要です。
様々な活動への参加
町の委員会、青年会、民泊ビジネスの手伝い、知人のプロジェクトなど、起業に直結しない活動にエネルギーを使いすぎるパターンです。
これらの活動が悪いわけではありません。問題は、定期的に見直さないことです。本当に自分の理想の未来に繋がっているか、エネルギーの使い方として適切か、常に確認する必要があります。
実際、会社を辞めた後の開放感で、様々な活動に参加してしまうことはよくあります。しかし、一定期間はビジネスに集中しないと、結果は出ません。必要なら一時休止する勇気を持ちましょう。
制限を疑わない
「会社があるから」「時間がないから」「お金がないから」という制限を絶対的なものと思い込むパターンです。
しかし実際には、会社は辞められます。これは選択肢の一つです。時間は作れます。優先順位の問題です。お金も、工夫次第で何とかなることが多いです。
制限の多くは思い込みです。本当に不可能なのか、ただ思い込んでいるだけなのか、一つずつ検証してみてください。
たとえば「会社を休めない」という思い込み。でも母親が病気で危篤だったら、休むでしょう。つまり、本当に重要なことのためなら休めるのです。起業も、ある程度そのレベルの覚悟が必要な時があります。
嘘をつけと言っているわけではありません。ただ、本当にやりたいことがあるなら、そのくらいのことを考えてでもやる価値があるということです。一定期間だけでも、そのくらいの覚悟を持つことが必要な場合もあります。
ADHDの強みを活かす
最後に、ADHDの強みを改めて確認しておきましょう。多動力は、適切に使えば強力な武器になります。
イメージ力が豊か
ADHDの人は、イメージ力が豊かです。だからこそ、フォーカシングなどのイメージワークが非常に効果的です。学校教育は論理的なことばかりで、こうしたイメージを使ったワークを教えてくれません。
しかし、イメージの力は非常に強力です。理想の未来をイメージすること、体の感覚をイメージで捉えること、これらは全てADHDの人の得意分野です。
多様な視点
様々なことに興味を持つことで、独自の視点やアイデアが生まれます。一つのことしか知らない人より、多様な経験を持つ人の方が、新しい組み合わせを生み出せます。
スティーブ・ジョブズも、カリグラフィーの授業を受けていたことが、後のMacのフォントデザインに活かされたと言っています。一見無関係な経験が、後で繋がることがあるのです。
行動力
落ち着かない感覚を行動のエネルギーに変換できます。じっとしていられないという特性は、適切に方向づければ、圧倒的な行動力になります。
直感的な判断
論理だけでなく、体の感覚からのメッセージを受け取れます。これは非常に貴重な能力です。ビジネスでは、論理だけで判断できないことが多々あります。そんな時、体の感覚を信じることで、良い決断ができることがあります。
まとめ:多動力を味方につける5つのステップ
最後に、多動力を味方につけるための5つのステップをまとめます。
まず、理想の未来を明確にすることです。3日後引き寄せ日記を書き、自分が得たい結果を明確にします。目的地が分からなければ、どんなに頑張っても辿り着けません。
次に、客観視の習慣をつけることです。点数評価法で定期的に自己評価し、フォーカシングで感情を理解し、エンプティチェアで多角的視点を得ます。客観視できれば、エネルギーの分散を防げます。
三つ目は、制限を外すことです。パーミッションワークで許可を出し、思い込みを書き出し、本当に不可能かを検証します。多くの制限は思い込みに過ぎません。
四つ目は、エネルギーを集中させることです。ワンシング(1つのこと)を決め、活動を定期的に見直し、効果のないことは勇気を持ってやめます。一定期間の集中が、大きな成果を生みます。
最後に、体と感情の声を聞くことです。落ち着かない感覚をメッセージとして受け取り、深呼吸で前頭葉を活性化し、環境を変えて刺激を得ます。体は既に答えを知っています。
今日から始められるアクションプラン
理論を理解するだけでは何も変わりません。行動することが全てです。まず今日やることとして、自分の現状を点数評価してください。そしてフォーカシングを1回実践します。パーミッションワークで1つ許可を出してみてください。
今週やることとして、3日後引き寄せ日記を週3回以上書きます。自分の活動を書き出して評価します。エンプティチェアで1人会議をしてみます。
今月やることとして、フォーカシングを習慣化します。週3回以上を目標にしてください。ワンシング(最も効果的な1つの目標)を決めます。そして定期的な自己評価の仕組みを作ります。
推奨リソース
さらに深く学びたい方のために、いくつかのリソースを紹介します。書籍としては『優しいフォーカシング』がお勧めです。フォーカシングの具体的な方法が丁寧に解説されています。
『スタンフォードの自分を変える教室』も良い本ですが、分厚いので図解版をお勧めします。客観視の方法が分かりやすく説明されています。
ツールとしては、イーゼルパッド(大型ポストイット)が非常に便利です。30枚が2冊で約7000円ですが、Amazonでキャンペーンの時に買うと安くなることがあります。
環境面では、自転車と散歩コースを確保してください。環境を変えることで、新しいアイデアが生まれます。
おわりに
ADHDの多動力は、適切に活用すれば起業における強力な武器となります。重要なのは、多動を抑え込むのではなく、理解し、方向づけ、活用することです。
客観視のスキルを身につけ、自分の感情や体の声に耳を傾け、明確な理想の未来に向かってエネルギーを集中させましょう。この記事で紹介したワークは、すべて実践的で、今日から始められるものばかりです。
まずは1つのワークから始めて、自分に合った方法を見つけてください。継続することで、多動力はあなたの起業活動を加速させる最強の味方になるはずです。
この記事が役立ったら、まずはフォーカシングを1回実践してみてください。あなたの体は、すでに答えを知っています。その声に耳を傾けることから、全てが始まります。
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