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多くの人が「自分を褒める」ことに抵抗を感じています。特に日本では謙遜が美徳とされ、自分の良いところを認めることに慣れていない人が大半です。しかし、自己肯定感を高めるためには、自分で自分を認め、褒めることが最も重要なステップとなります。
自己肯定感が低いと、どんなに他人から褒められても素直に受け取ることができません。「そんなことないです」「いえいえ、まだまだです」と謙遜してしまう経験は誰にでもあるでしょう。これは単なる日本文化の問題ではなく、自分で自分を認められていないことの表れなのです。
自己肯定感が上がると何が変わるのか
自己肯定感が高まることで得られるメリットは計り知れません。まず、行動を継続できるようになります。何か新しいことを始めても、すぐに「自分には無理だ」と諦めてしまう人は、自己肯定感の低さが原因であることが多いのです。
次に、新しいチャレンジへの恐怖心が減少します。失敗しても「自分はダメだ」と思わなくなり、「次はこうしてみよう」と前向きに捉えられるようになります。さらに、人からの褒め言葉を素直に受け取れるようになることで、人間関係も良好になっていきます。
マズローの欲求段階説から見る自己承認の重要性
心理学者マズローが提唱した欲求段階説は、人間の行動を理解する上で非常に重要な理論です。この理論によれば、人間の欲求は5段階に分かれており、下から順番に満たされていく性質があります。
最も基本的なのが生存欲求で、これは「生きたい」という根源的な欲求です。次に安全欲求があり、これは安心・安定した環境を求める欲求です。古代の人類が洞穴に住み始めたのは、この安全欲求が満たされ始めたからだと考えられています。
3番目が社会的欲求で、これは人と繋がりたいという欲求です。人類が農業を始め、集団で協力するようになったのは、この欲求が芽生えたからです。4番目が自己承認欲求で、これは集団の中で認められたい、目立ちたいという欲求です。そして最上位が自己実現欲求で、これは他人からの評価に関係なく、自分のやりたいことをやりたいという欲求です。
起業活動やビジネスは、この自己実現欲求に該当します。しかし、ここに大きな落とし穴があります。自己実現欲求と安全欲求は真逆の関係にあるのです。新しいことを始めるということは、必ず安全を脅かします。だから新しいチャレンジをする時に不安を感じるのは、人間として極めて自然な反応なのです。
「自信がない」の本当の意味
「自信がないからできません」と言う人は非常に多くいます。しかし、これは実は自信をつけたいわけではないのです。本当に求めているのは「自信がない私でも大丈夫」という承認なのです。
考えてみてください。誰でも初めてのことには自信がないはずです。自信があるからやるのではなく、やるから自信がついていくのです。「自信がない」という言葉は、実は「今のままの私を認めてほしい」というメッセージなのです。
しかし、ここでも問題があります。どんなに他人から認められても、自分で自分を認められなければ、その承認を受け取ることができません。人から「すごいね」と言われても「そんなことないです」と返してしまうのは、自己承認ができていないからです。
結果だけを褒める危険性
多くの人が陥りがちな間違いは、結果だけを褒めようとすることです。学校教育の影響で、私たちは「結果を出さなければ褒められない」という価値観を植え付けられています。起業の世界でも「お金を稼げなければ意味がない」と考えがちです。
しかし、この考え方では永遠に自己肯定感は上がりません。結果が出るまで自分を認めないということは、結果が出ない間はずっと自分を否定し続けることになるからです。これでは行動を継続することは困難です。
プロセス全体を褒める4つのポイント
結果に至るまでには、実は4つの段階があります。この4つの段階すべてが褒めるべきポイントなのです。
第一段階は「意欲」です。何かをやろうと思うこと自体が、実は大きな一歩なのです。多くの人は考えることすらせずに日々を過ごしています。「ブログを始めようと思った」「新しいスキルを学ぼうと思った」という意欲を持てたことは、それだけで素晴らしいことなのです。
第二段階は「気づき」です。目標に向かって何が必要かに気づくことも、重要なステップです。「このスキルが必要だ」「この情報を集めなければ」と気づけることは、多くの人ができないことです。気づきがあって初めて、正しい方向に進むことができます。
第三段階が「行動」です。実際に手を動かし、行動に移すことができたなら、それは確実に褒めるべきことです。多くの人は意欲や気づきがあっても、行動に移せずに終わってしまいます。行動できたということは、大きな進歩なのです。
そして第四段階が「結果」です。もちろん結果が出たら素晴らしいことですが、結果だけを褒めるのではなく、ここに至るまでの全てのプロセスを認めることが重要なのです。
よくある誤解:プロセスを褒めると努力しなくなる?
ここで多くの人が疑問に思うことがあります。「結果以外を褒めてしまうと、本人は努力しなくなってしまうのではないか」という懸念です。
しかし、これは大きな誤解です。行動を褒めることは、結果が出たことにするわけではありません。ただ単純に「行動したこと」そのものを認めるだけです。
例えば「ブログを書いた」ことを褒めるのは、「PVが上がった」ことを褒めているわけではありません。書くという行動がなければ、PVが上がることは絶対にありません。だからこそ、行動そのものを認めることで、さらに行動しやすくなり、結果的に結果にも繋がっていくのです。
実践:自分褒めワークの具体的なやり方
では実際に自分を褒める練習をしてみましょう。方法は非常にシンプルです。5分間で、自分を褒めることを10個書き出してください。
ここで重要なのは、どんな小さなことでも良いということです。「今日起きた」「昨日より10分早く行動した」「新しいことに興味を持った」「人と話せた」「このワークをやろうと思った」など、本当に些細なことで構いません。
特に最後の「このワークをやろうと思った」は重要です。これは先ほど説明した「意欲」の段階であり、これだけでも十分に褒めるべきことなのです。
言語化が苦手な人は、完璧な文章にする必要はありません。「○○した」という動詞だけでも構いませんし、「○○を考えた」という思考でも良いのです。箇条書きでも、単語だけでも問題ありません。大切なのは、自分の行動や思考を認識し、それを肯定することなのです。
もし10個書き出せなくても、それで自分を責める必要はありません。「褒められない自分」もまた、認めるべき自分の一部です。完璧を求める必要はないのです。
言語化が苦手な人へのアドバイス
言語化が苦手だと感じている人は、実は多くいます。特に発達障害の傾向がある人や、内省的な性格の人は、感じていることを言葉にするのが難しいと感じがちです。
しかし、自分を褒めるために、立派な文章は必要ありません。感じたことをそのまま短い言葉で表現するだけで十分です。「嬉しかった」「できた」「やった」という単純な言葉でも、それは自己肯定の第一歩なのです。
また、書くことが苦手なら、声に出して言うだけでも効果があります。鏡を見ながら自分に語りかける方法も有効です。形式にこだわらず、自分に合った方法で実践することが大切です。
社会的欲求との関係性
ここで重要な点を補足します。自分を褒めるという行為は、実は社会的欲求が満たされていないと難しいのです。
もし今、人との繋がりを全く感じられない状態にあるなら、自分を褒めることも困難かもしれません。なぜなら、完全に孤立した状態では、褒めるべきことが見つからないからです。
だからこそ、まずは何らかの形で人と繋がることが重要です。オンラインコミュニティでも、趣味のグループでも構いません。人との繋がりを感じられる場所を持つことで、自己承認もしやすくなります。
次のステップ:他人を褒める
自分を褒められるようになったら、次は他人を褒める練習をしましょう。これは自分を褒めることと同じくらい重要です。
特に効果的なのは、相手の「短所」や「できない部分」を認めることです。「完璧じゃなくても大丈夫」というメッセージを伝えることで、相手は完全な安心感を得ることができます。
短所は実は長所の裏返しでもあります。「慎重すぎる」は「丁寧で確実」とも言えますし、「優柔不断」は「多角的に考えられる」とも捉えられます。こうした視点の転換を実践することで、自分の短所に対する見方も変わってきます。
自己肯定感と企業活動の関係
起業や新しいビジネスを始める時、多くの人が躊躇します。これは自己実現欲求と安全欲求が対立するからです。新しいことを始めれば、必ず不安が生まれます。これは人間として正常な反応です。
しかし、自己肯定感が高まっていれば、この不安を乗り越えやすくなります。「失敗しても自分には価値がある」と思えるからです。また、プロセスを褒める習慣があれば、結果が出る前から自分を認めることができ、行動を継続しやすくなります。
さらに、集団の中で目立つことへの恐怖も、社会的欲求が満たされていれば軽減されます。「多少変わったことをしても、自分の居場所はなくならない」という安心感があれば、新しいチャレンジもしやすくなるのです。
まとめ:継続することの重要性
自己肯定感を高めることは、一朝一夕にはできません。しかし、毎日少しずつ自分を褒める習慣をつけることで、確実に変化は訪れます。
大切なのは、完璧を求めないことです。10個書き出せなくても、言葉がうまく出てこなくても、それで良いのです。その不完全な自分もまた、認めるべき自分の一部なのですから。
今日から、小さな一歩を踏み出してみてください。「この記事を読んだ」「自分を褒めようと思った」それだけでも、十分に素晴らしいことなのです。
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